普通の人々の、特別でもない日常を切り取ったお話。私はこういう小説にとても惹かれます。いまやシングルマザーはあふれていて、女性が育児や仕事に忙殺されるのは普通のこと。それがどんなに大変なことか、誰しも想像はできても、とりたてて思いを馳せたりしない。あえて誰かに語ることもしない、誰かに問われることもない、けれどその人なりの物語がある。普通の人々の、普通の日常の中で見つける愛情や小さな幸せが、なぜか私の胸の奥の、とある部分に沁みるのです。