第3話 バックトゥザ変態
テンプレ通りに物事が進んだ。出席番号順の席に座った僕らは、担任(男)が挨拶をし、明日から一緒に頑張ろうと一方的に決起された所だった。
そして、明日の高校初の授業に向けて説明、と思いきや。
「クラスの皆が一日でも早く仲良くなれるように、席替えをしよう!」
と、担任は意味の分からないレクリエーションを始めてしまった。別に出席順でいいと思うのだが……。
「くじは先生が考えてきた! 読み上げるぞ!」
ますます意味ないじゃん、と当然どっかから声が上がるも先生は無視して生徒の名前を読み上げていく。
本当にランダムで行っているらしく、極端に女子が固まったりその逆も見受けられる。中には、四方八方を男子に囲まれているなんていう女子としては最悪な席も存在した。
そして、僕は――。
「甲賀宗太郎!」
読み上げられた後列最後の窓際の席に座る。最初は移動など手間だと思っていたが、教室全体を見渡せるこの席になったのは幸運だ。ありがとう担任。
それで、次の列の前の席に戻り、担任は名前を読み上げていく。
僕は隣が誰になろうとどうでもいいので、窓の外の中庭に視線を向ける事にした。
「
「はーい!」
一人のツインテールの女子生徒が慌てて走っていくのが見える。小柄な女子、というか少女。だが、赤のリボンを胸元に着けているという事は同学年なのだろう。
すると突然教室で、小さく歓声と落胆の声が上がる。どうやら誰か特定の名前を呼んだ時だったらしいのだが、正直あの少女に目も意識を持っていかれ聞いてなかった。
「いいなー、あいつ、席が隣とか仲良くなれるチャンスじゃん」
「でも、なんか暗そうだしあんま話さなそうじゃね?」
ここで、何故か僕に多くの視線が向けられている事に気づいた。一体、なんなんだろうか。もしかして変な事でもしてしまっただろうか。
妄想に近い想像が頭の中をぐるぐると回る。好奇の目は嫌いだ。興味本位は一番意味もなく自覚もなく人を傷つける。
だが、どうやら違ったようで。その視線は直ぐに僕の隣へと移っていった。
よかった、そう旨を撫でおろした……が良くなかった。
視線を向けた先、そこには見覚えのある美顔と長い黒髪、そして画面の向こうと同じプロポーション。
まさに美少女、S級素人だった。
僕は、この「変態」を知っている。
「よろしくね、甲賀宗太郎君」
変態は何事もない様に僕に向け、微笑んだのだった。
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