エピソード3 無人島
ハンバーグの上に目玉焼きが乗っている。
ハンバーグの下にはライス、ライスのまわりにソースがめぐらせてある。
「無人島だね」
彼女が彼に言った。
「ロコモコでしょ」
「違うよ」
「デミソースじゃない」
「それ、デミソースなの」
「ケチャップとウスターをまぜたような感じじゃない」
「そうかなあ」
彼女はスプーンですくってソースを舐める。
「カレー」
「カレーなの」
「そもそも海って青でしょ」
「茶色い海もある」
「光の加減で青く見える」
彼女は皿を持ち上げ、目と同じ高さのところで止めて中を覗き込む。
男は彼女を無視した。
女は男を睨みつける。
「ジンジャーエール飲んだら」
「言われなくても飲むさ」
そう言って彼はハンバーガーにかじりつく。
そして口をもぐもぐさせた後、ジンジャーエールを飲んですべてを飲みこんだ。
「ここのジンジャーエール、辛くない」
女が男にきいた。
「自家製みたいだからね」
「ガツンと来るだろう」
「別にガツンと来なくてもいいのに」
「それに甘くないし」
女は男に不満そうに言った。
彼はペールエールを飲みながら窓際の男女を見ている。
「無視ですか」
彼女が彼に詰め寄る。
「知ってるような気がするんだ」
彼女は彼の視線の先を確認する。
「他人の空似よ」
女が男に言った。
「覚えてるだろ、あの日だよ」
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