第13話 西の大陸とゴールデンランド
「こいつがこの世界の港かぁ」
俺は自身の目的達成のために、西の大陸にある【コーラル港】へ行くためにここ、【カンザス港】にてボートを待っていた。
「お客さん!西の大陸はいいところですぞぉ〜。こんな田舎の多い東の大陸に比べたら、楽しいこともたくさんありまっせ。ところで、どうして西の大陸に行くんですかい?」
このボートの主であるNPCの、カンザスという名前の大人がのんきに話しかけてきた。なんでNPCが自動的に話しかけてくるのか、システム上NPCは決まったセリフしか言わないはずなのに。
「ただの旅行だ。目的なんて特にない」
まるっきり嘘を吐いてしまった。だが、NPCごときに俺の目的を話す義理はない。
「そうですかぁ〜。コーラル港近くの、プルトン国は観光地として有名な街がたくさんあるんや。いいところに目星をつけたねぇ〜」
「褒めてるんですか?褒められることなんてしてない。早く着きたいんだが、あと何日ぐらいかかるんだ?」
「そうさな〜、このペースだとあと2日はかかりやす。何卒、ごゆっくりしていってくれや」
「そ、それじゃ遅い!ゴールドは払うから、もっと!もっと早く飛ばしてくれないか!目的はないが、早く観光したいんだ」
「観光という目的があるやないか〜。金払ってくれる言うなら、仕方ねぇ。飛ばしてやるが、安全性は保証しないで!」
「おう、飛ばしてくれ」
すると、このボートは勢いをぐぐんと増していき、かなり早くなったため前の船底が上がった状態になった。
「気持ちいいでしょうお客さん!このペースなら、半日で着きますぞ!」
そして、気持ちいい風を受けながら半日が経過した。ついに、西の大陸へ到着したのだった。
「へい毎度!またのご利用を待ってるぜ」
ボートは来る時の速度のまま、東の大陸へと戻って行った。
「……ほう、いたって普通の島なんだな。見た感じだとそこまで変わった雰囲気はないしな」
俺はとりあえず、港を出てこの島のモンスターについて調査することにした。
「さて……どんなモンスターが待ち受けているのか、楽しみだな」
港を出て3つに枝分かれしている道が現れた。その道は草原を3つに割っているようでもあった。どっちに行こうか悩んでいたその時、モンスターの咆哮が迸った。
「グオオオァア」
その咆哮の主の元へ行くために、声のある方へと進む。道から外れて草原の奥深くまで来たのだった。そこには、でっかい熊かなにかがいた。名前を確かめてみると。
【ベオウルフ】
レベル73
と、ある。
「いきなりレベル70越えと遭遇するとはな……。さすがは、未知なる領域と言ったところか」
小声で感想を述べる。まだ、やつはこちらに気づいていないようだ。じっとしているまんまかと思えば、やつは走ってきた自分よりも小さいモンスターを木っ端微塵に、拳を叩きつけたではないか。そして、殺られたモンスターを自分はしゃがんでむしゃむしゃ喰っている。
「うっ……。この世界でも生存競争はあるのか。それとも、この西の大陸だけ?」
気持ち悪い光景から早く逃げたくて、俺は一心不乱にそこから立ち去った。
「とんでもないものを見てしまった。あんなの見せられたら、この大陸でろくに戦っていけない気がする」
そのあと2日ぐらいコーラル港にて、宿屋で停泊しているとチャットにメールが届いたお知らせが入った。
『ダイモンくん……。早く、助けにきて。もう私……、私じゃいられなくなるよぉ。私のいるところを、教えるから迎えにきて』
『教えるって言われてもな。リサさんのギルマスは、誰なんだ?そしてギルド名を教えてくれ』
『わかった。ギルマスの名は、フーラ。ギルド名はゴールデンランド』
なんだと……。よりにもよって、探し相手がまさかギルマスをしていて、助けを求めてる人のギルドだと……。リサ、なにかやられてないよな。俺はさらに不安を覚えた。
『なるほど。リサ?なにもされてないよな?されてるのなら、辞めてとかは言っちゃいけない。さらに痛めつけられる』
『なにか、ギルマスについてしっているようなセリフだね。やめてっていったよ。言っても全然聞いてくれない……。早く脱したいよ、この場から』
『わかった。助けに行くからもう少しだけ耐えててくれ……。もう少しだけで、十分だから』
『ありがとう』
チャットがきれた。俺の体は怒りに溢れそうだった。もう、1日の猶予もない。すぐに支度をして、俺は真夜中だがモンスター狩りへ出かけた。
――――――――――――――――――――
「イッヒヒヒ。よくやったねぇ、嬢ちゃん?今日もまた、ご褒美としてうちのかわい子ちゃんたちから色々されてもらいなさい?」
「は、はい……」
この世は残酷だ。こんな、こんなにも……。穢れている人たちに、愛し合ってる仲じゃないとできないことをされるなんて。ここが、ゲームだから?ゲームだからって好き放題やっていいの?違う。そんな訳ない。
「いやぁ、最高の演技じゃねぇかリサさんよぉ!フハハハハ!俺らのおもちゃとして、遊ばれることを光栄に思えよ!それ!」
目の前の巨漢の爪使いの男が、服をカッコつけて脱いで汚物を見せてきた。あの日、ログアウトできなくなり、この大陸にこいつらに連れられて引っ越した時から私は、手遅れだった。傷物にされていた。そして槍使いのもう1人の男もまた
「そうだぜぇリサさん。もうあんたには処女はないんだから、好き放題ヤらせろよ!」
こうして、今夜全部を性行為の時間にさせられた。
「お願い……。助けて」
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