第5話 PK


今日もまた、始まりの村【ゲネブエラ】にてフーラさんと再会した俺は、最初のフィールドである【ゲネブ平原】に居た。


「では前に俺へ攻撃しまくっていた、あの黄色いスライムに仕返しをしてやろう」


「頑張れ!」


彼女の励ましもあってか、俺はめちゃくちゃ張り切っていた。俺はスライム目掛けて通常攻撃である縦切りをこのまえと同じように行う。


「とりゃ!」


綺麗な音を発しながら今度こそ、スライムに命中し、見事一撃で倒すことが出来た。


「やった!スライム倒せたぜ」


スライムごときに喜んでるなんて、ゲーム初心者かよ。と思いこみながらそこら辺にいる雑魚モンを狩り続けていたらもう昼になっていた。


「頃合いね……」


舌なめずりをしたフーラは、指を口に当てて鳴らす。途端、近くの崖のようなとこで隠れていたフーラの仲間のうちの二人が降りてきた。


重い振動があったので何事かと、後ろを振り向いたら、もう手遅れで敵による爪攻撃に襲われようとしていた。


振りかざされた、その爪は俺に当たりそうになるがギリ剣で受けて防ぐが、弾き返されてダメージを少し受ける。


攻撃してきたやつの正体はプレイヤーである。そう、フーラはPKを日常的に行う集団、言わゆるパーティーに所属していたのだ。


「ちっ、避けやがって生意気なぁ〜!」


ほんとの荒くれ者のように怒りを現わにしてもう一度爪を振りかざしてきた。


危ないところをギリギリ交わすことに成功した。敵の攻撃が速いためほとんどギリになってしまう。


「いきなり攻撃してくるなんて、失礼だし危ないぞ!」


「ふんっ、クソガキがぁ〜!俺らを知らないわけないよな?」


しっかりと見ると、彼の後ろには、右後ろに不敵に笑うフーラさん。その左隣には、槍と思われし物を装備しているプレイヤーが一人。



「どうして。どう……してなんだよ……フーラさん」


「あーっはっはっ!引っかかる方が悪いのよ?あんた、ほんとバカすぎ!イヒヒヒヒ!!!私にまんまと騙されて!!これだから初心者狩りは飽きないのよねぇ」


「おい、フーラ。やつにアイテムと金はあるのか?」


「あるに決まってるでしょ〜?イーッヒッヒッヒ!」


すると槍のプレイヤーが、


「クソみたいな初心者だなぁ!俺たちを知らずしてこのゲー厶をやり始めるなんてよぉ!ざまぁとしか言いようがないぜ!あひゃあひゃひゃ!」


そして爪使いが、


「雑談してる暇ぁねぇんだろ?とっととやっちおう」


「へーい!リーダー!行くぜっっ!【グングニル】」


槍のかなり上に位置するスキルだと思われるそれが槍から放たれ、俺を攻撃しようとするが、それを弾く。


「やれやれ、しぶといやつだなぁ!【タイガークロー】!」


今度は爪による三連続攻撃が襲ってくる。それも2回目まで弾き返すけど、最後の攻撃がかすり傷となって当たってしまう。かすり傷なので相手が高レベルだろうと、余裕で耐える。


俺は天翔覇斬を覚えるのに200もスキルポイントがかかるので、怪しいと思い込み、スキル一覧の中の剣スキルの覧を覗いたことがあった。


そこには攻撃+10が1ポイントで、最初のスキルであるエレクトロショットが3ポイント。などがあった。クエストなんて受けなくてもいいではないか。と思ってた時には遅かったらしい。


「へっ、あんたたちの思い通りになるかよ。エレクトロショットォォォ!!!」


剣を相手に当てたら感電状態にさせる初級スキルで攻撃する。相手はどれもレベル40を越える猛者であったため、ちっとも削りやしない。


「雑魚がぁああ!シャドウクロゥゥゥ!」


爪のやつが攻撃してくる。それは単発技だったため剣で受ける。やはり、ダメージは受けてしまう。


その頃、彼らが降りる前にいた崖では。


「狙いよし、的よし、味方の位置よし。速やかに実行する。シャドウアロー」


その者の弓から放たれし矢は、俺目掛けてワープしたかのように一瞬で迫ってきて腹に刺さらうとしたその時――。


その矢があたる感触はなかった――。

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