第585話 げんなりする支配人


  三日の猶予は稼いだものの、実際にはあまり意味がなかった。

 何故か。


悠馬ユーマよ、これはなにかね?」

「それはパソコンだ。触るなよ。壊れるから」

「ぱそこん?」

「めっちゃ頭のいい機械だ」

「ほぉう」

「いやだから触るなって!」


 高杉が俺のあとをついてきて、何かにつけて質問を浴びせてくるのだった。視察してるのとほぼ同じなんじゃなかろうか。


「ではこれは?」

「それは冷蔵庫と冷凍庫だ。食材を冷やしたり凍らせたりして保存する機会だ」

「ふむ。氷室ひむろのようなものだね。――だが、中に氷が入っていないね。どうやって冷やしているのだ?」

「触るな。開けるな! そんで開けっ放しにするな!」

「ははは。珍しいものなのでつい」

「つい、じゃねえよ」

「それで? どうやって冷やしているんだい?」

「ええとだなあ」


 興味津々の高杉に俺はげんなり気味に対応する。全く仕事にならんのだが。


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