第558話 コストが馬鹿になりません。


 エレベーター問題はひとまずこれでオーケー、としておこう。実際に運用始めたらなんかしら問題発生するだろうが、安全第一で都度修正していけばいい。


「で、ええとなんだっけ。もうひとつ課題があるんだよな」

「仕入れの問題があります」

「聞かせてもらっていいか?」

「はい、ユーマ様。稼働率の上昇に伴い、朝食で提供しているパンの消費量が激増しております」

「パン関連の問題ね」


 なんだろう。小麦粉が高騰してるのかね。それともパンに合わせるスープとか主菜とかの問題だろうか。


「薪の仕入れコストが馬鹿になりません」

「おっとぉ」


 そっちかい。


 うちの宿ホテルは朝食のみ提供している。パンは当初――ほんとうにはじめのころだけ――冷凍保管されていた元の世界あっちのパンを使っていた。まあそれもすぐに在庫切れしてしまい、今は竈でパンを焼いている。


 薪の調達は行商人からの仕入れに頼っている。山の中なんだから木そのものはいくらでもあるのだが、この山を含めた地域を加護する守護精霊様に申し訳が立たないので、薪を得るために木を伐採したりはしていない。


 で、結果として薪の費用が嵩んでいる、と。コレ、行商人のブルーノが「高くつく」と言ってたのが更に高くなってきてるってことか。




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