第525話 同郷
リーヨーン帝国とシュトルムガルド王国の講和会談は王国の会議室で行われた。
しかも帝国からやってきたのは
停戦したとはいえ敵国に乗り込んでくるとはいい度胸である。
他に連れてきたのは文官ひとりきりだった。護衛も付けていない。そんなわけで文官は緊張しまくっており表情は硬いし顔色は青い。それが普通だ。
「いい度胸というか、アホでは」
率直な感想が思わず漏れたが、誰にも聞こえていなかったようだった。
そんな帝国側二名に対して、王国側は王位継承権者である三名&俺。それと名前も知らない書記官数名。
「はじめまして。僕は高杉晋作という者だ。帝国皇帝をやっている」
「私はヴィクトール・ミゲイラ・シュトルムガルド。第一王子だ。国王は病床のため、私たち三名がお相手をさせていただく」
「ふむ。ヴィクトール殿以外は二度目だね? イグナイト殿とそちらの怖い怖いお嬢さん」
「エリザヴェートです」
「失礼。エリザヴェート殿」
殺意の篭った視線を平然とやりすごし、高杉は涼しげな笑顔。俺の姿を認めると、
「やあやあ、
やけになれなれしい。
「……皇帝陛下もおかわりないようで」
「堅苦しいね。同郷のよしみだ。気楽にいかないか」
「はあ」
同郷と言われても俺は山口県出身ではない。「日本=同郷」はいささか範囲が広すぎやしないだろうか。生きてた時代も150年くらい違うし。
「気の無い返事だな」
「俺と雑談してる場合じゃないだろうに」
「それもそうだ。そろそろはじめようか、諸君?」
なんで高杉は人ん
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