第524話 条件

「条件がある」


 謂われるままに同席して面倒事に巻き込まれるのもアホらしいので取れるものは取っておきたい。そんな俺の心情を慮ったとは思えないが、ヴィクトールは鷹揚に頷いた。


「聞こうか」

「ふたつある」

「うん」

「講和が終わったら俺は帰る。これがひとつめ」


 そろそろ俺はホテル業自分の仕事をちゃんとやりたい。FC展開もしてしまったことだし、トレーニングとかマニュアルとか基準づくりとか、やることは色々あるのだ。


「いいんじゃないかね」

「これ以上の慰留は無しだ」

「約束するよ、我が英雄」


 よし、言質取った。


「ついでにノヴァも連れて行く。これがふたつめ」

「講和の中身次第だね。平和的な内容になるならノヴァを連れていってくれても構わないよ」

「そこはちゃんと平和的な内容にしてくれ」

「善処するよ」

「……もう一回戦争するのは御免だからな」

「ははは。わかっているとも」


 笑いごとではない。

 高杉晋作と敵対するなど二度としたくないのだ。

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