第474話 おかしさの理由とは
おかしい。
やはりどう考えても帝国はおかしいのだ。
「イグナイト殿下、帝国がおかしいのは昔からですか?」
「……突然どうした。藪から棒に」
怪訝な表情を浮かべるイグナイトに俺は俺の感じている「おかしさ」をできるだけ細かく伝えてみた。イグナイトは難しい顔をして何度か話を止めながら、それでも最後まで付き合ってくれた。
「――とまあそんな感じで、いくら侵略が国是の帝国でも技術や発想が進歩しすぎだと思いませんか?」
「確かにな。……言われてみれば不思議に思うこともある」
「!」
イグナイトが奇妙に感じること。
それはきっと俺の感じている違和感に通じることだ。
慌てる気持ちを抑え込みながら、俺はイグナイトに尋ねる。
「と、言いますと?」
「十年前には帝国も我が国と大差ない軍備だった。それがこうも様変わりするとは」
「……へえ。十年前には銃兵はいなかったんですか?」
「ああ、いなかった」
意外だ。十年前には銃兵くらいはいたんだと思い込んでいた。
「当時の主力兵科は騎兵、歩兵、弓兵とかですか」
「魔術師もいた。少数だがな」
魔法使い以外はゴリゴリに古臭い陸軍だな。
それがここまで変わるには「何か」重大な出来事があったはず。
「この十年で、帝国で一番の大事件はなんですか?」
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