第468話 行ってくるぞと勇ましく

「それでは行ってきますね!」


 ノヴァは明るい口調で帝国軍に向かおうとしていた。

 いやいや待て待て。


「ノヴァ、待て。待ってくれ」

「……はい?」

「確認だが、これからどうするつもりだ?」

「どう、って。帝国軍の陣地に切り込んで、こう、ずばーん、と」

「……」


 一瞬でも赤の勇者を頼もしいと思った自分をぶん殴りたい気持ちになった。ちょっと買物に行ってくるみたいな気持ちで動き出すんじゃあない。


「この、馬鹿勇者がっ!」

「あいた!?」

「少しはものを考えろ。いくらレーヴァテインがあるっていっても無策で突っ込んでどうにかなる数じゃないだろ」

「どうにかならなかったらすぐに帰ってきますので」

「どうやって帰ってくるつもりだ」

「フフフ」


 ノヴァにこういう自信満々な顔をされると俺は不安で仕方ない。


「こんなこともあろうかと、風の魔剣使いが一緒です! 空を飛んで行って帰ってきます!」


 おっ、やっぱり無茶苦茶言い始めたぞ。ってちょっと待て――


「風の魔剣使いって聞こえたぞ!?」

「はい!!」



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