第455話 相手の対応に対応する

「塹壕で足止めされた帝国軍の選択肢はふたつです」

「突撃を強行するか、迂回するか」

「御名答です、イグナイト殿下」


 俺は素直に称賛した。やっぱり頭は悪くないんだよなあ、この人。時々おかしいのが問題ではあるが。

 イグナイトははまんざらでもない顔で頷くと、


「連中、どちらを選ぶと思う?」

「損害は減らしたいでしょうから迂回戦術ですかね」


 戦争の序盤も序盤で兵員をすり潰すわけにはいかないはず。塹壕を全部迂回してこちらの最終防衛線を脅かしたい、というところだろう。


「もっとも左右の地形は大軍を通すのには適していません。帝国軍は無理をすることになるでしょう」


 そういう風に布陣してるからな。


「では、どうするのだ」

「――無理しているところを突きます」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る