第451話 やるしかない!


「ヤツ」のおかげで陣地構築は遅れを取り戻しつつある。

 銃の量産も進んで、数だけは増えてきた。

 風の魔剣使いについて進展は特にない。


 宿のFC展開の件はヴィクトールの息のかかった御用商人だかなんだかが南方小国のあちこちで交渉してくれているらしい。手応えあり、とのこと。


「俺も交渉そっちに行きたいんだがなあ」


 あーあ、と溜息混じりにぼやいてみても現実は変わらない。


「貴様には防衛拠点こちらに居てもらわなければ困る」


 厳しい視線を向けてくるのはイグナイトだった。

 視線だけでなく表情も硬く険しい。


「殿下の戦装束いくさしょうぞくははじめて見ますが、お似合いですね」

「……つまらん世辞は要らん」

「そうですか」


 イグナイトは眼下――防衛線の向こうに迫る人の塊をめつけていた。

 帝国軍が遂にやってきたのだ。


「やれるか?」

「やるしかないんですよねー……」


 まだ準備は完了していないとはいえ、四の五の言っていられまい。

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