第418話 降水確率0%

「魔剣の担い手、見つかりそうか?」

「……風の魔剣は候補者が現れたよ。多少問題はあるがね」


 問題、ときたか。


「帝国軍の侵攻よりも大きい問題なんかないだろうに」

「全くごもっとも」


 ヴィクトールはそれ以上のことは口にしない。「問題」とやらが相当引っかかっているんだろう。それについて俺が解決できるわけでもない。


「だったら、水の魔剣はどうなんだ?」

「そちらはもっとかんばしくないよ。王宮内の者と近衛騎士、兵士を片っ端から引き合わせたけれどね」


 反応なし、だそうだ。


「気難しい魔剣ヤツだな」

「元来魔剣とはそういうものだよ、我が英雄」

「俺も試してみるか……。いや、意味ないな。俺が魔剣持っても戦力的には変わらないか。ヴィクトール、お前試してこいよ」

「もう試したよ」


 ヴィクトールは苦笑い。


「全く反応しなかった。私に英雄の素養はないようだよ」


 君のようにはなれないらしい、などとヴィクトールはほざいた。やかましいわ。


「話は変わるけど、防衛線の構築はどうなってる?」


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