第400話 はなしをきいて
クラリッサ曰く、帝国の町に買物に行った際に偶々銃を手に入れたのだそうだ。民間の商人が? 銃を? とは思ったが、当の本人が現物を出してくるのだから信じるしかない。
しかもその銃が――
「――後装式」
「そいつを売ってくれた爺さんも同じこと言ってた」
前装式の火縄銃ではない。
後装式のライフル銃が出回っているのか。
後装式というと、
なんにしたって技術格差がありすぎる。中世然としたシュトルムガルド王国に対して、銃兵を兵科として運用できるほどの火器の量産に成功しているリーヨーン帝国。
――この差はなんだ?
王国が遅れているのか、帝国が進んでいるのか。
十中八九は後者。
であれば原因は?
何故帝国の技術水準はこうも高い?
まともな技術進化の仕方ではこうはなるまい。
あの国には一体何がある……?
「……ン。……ッサン! オッサン!!」
「うわあ、びっくりした」
「死んだみてーに黙り込ってどうしたんだよ。商談中だぞ?」
「すまんすまん」
余計なことを考えるのは後でいい。
俺は今一番情報を持っているだろう商人の少女に集中した。
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