第388話 帝国軍は銃を何丁持っていてその生産速度はどの程度でしょうか、という設問

 ……は? 銃器?


「アイ、今、ジュウキって言ったか?」

「はい」

什器ファニチャーじゃなくて、銃器ファイアアーム?」

「はい」

「いつだったか俺が帝国の斥候から鹵獲したみたいな?」

「はい。その通りです」

「マジかよ」

「マジです」

「……あー」

 

 俺は天を仰いだ。視界には見慣れた事務所の天井があるだけ。未来とか将来とかの展望なんてものは見えたりしない。


 ――銃器が流通しているのはかなり衝撃的な事実だ。

 帝国軍の兵科に銃兵が在るだけでも十分過ぎる程ご勘弁いただきたいのに、クラリッサのような年若い商人が入手可能なレベルで流通してるとか冗談ではない。異世界なんだからおとなしく剣と魔法でやりあってもらえないだろうか。


「困ったもんだな」

「お困りですか」

「うん」


 男子たるもの困ったなどと口にするべきではない、と言ったのはどこの偉人だったろうか。俺は偉人でも傑物でもないので口にするぞ。マジでどうしたもんか。


 ――帝国軍の銃は一体何丁あるのか。生産速度はどんなもんなのか。


 興味と畏怖は尽きない。

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