第334話 封印の解放


「魔剣の主……?」

「王家に三振りある魔剣が一刀――炎の魔剣レーヴァテインにノヴァは選ばれ、晴れて勇者の称号を得たのだよ。家督を継ぐには十分過ぎる」


 強大な魔力のみならず意思すら持つ魔剣。

 使い手を自ら選ぶ、いにしえの勇者の遺物。

 全ての剣士の憧憬と畏敬の対象。


 けれど、


「選ばれたと仰いますけれど、つるぎの間の封印を解けるのはお父様現王だけでしょう?」

「あらゆるものを使わねば帝国を退けられなかったのだ。魔剣を眠らせておく余裕はなかった。使える者がいれば魔剣はそれだけで大軍に匹敵するのだからな」



「だからと言って年端の行かないノヴァを……」

「本人が力を望んだのだと言ったら?」

「ありえません」


 断言しました。

 ノヴァはパン屋さんになりたいと言っていましたから。

 そんな子が魔剣を欲する理由が、


「あるはずないのですわ!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る