第333話 父と娘
結論から申しますと、シュトルムガルド王国は崩壊の一歩手前で踏みとどまりました。騎士と兵の多くを喪失しながら、辛うじて帝国軍を撃退したのです。
亡くなった騎士の中には騎士長であるノヴァの実父も、正騎士たるノヴァの兄たちも含まれていました。ステルファンの家にはノヴァだけが残され、彼女が家督を継ぐことになったという事実を知った時、私の視界はぐらりと揺れました。
「御父様!」
「エリザヴェートか」
気が付けば私は謁見の前に怒鳴り込んでいました。
「人払いをせよ」
「はっ」
父王は直臣を下げると、困り顔で私を
「王族らしからぬ態度だな」
「申し訳ございません。ですが御父様、何故なのです」
「何故とは? 何の話をしているのだね」
「ノヴァの――ステルファンの話です!」
「騎士長の家か」
「何故ノヴァに家督を継がせるのです。剣の才の無い彼女に家長を任じるなどと」
父王の温厚な雰囲気は一瞬で剣呑なものに変わりました。
「
「…………はい、いえ、あの」
父王はやれやれと溜息をついて、
「ノヴァは家督を継ぐに相応しい器なのだ。なにせ、魔剣の主となったのだから」
と、仰ったのでした。
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