第278話 商人たちは問答をはじめる

「お嬢ちゃん、商売相手に銃を向けるのはどうかと思うがね」

「ジイさん、取引相手を小馬鹿にするのもどうかと思うぜ?」


 銃を突きつけられてさえこの余裕。

 このジイさんホントなんなんだ一体。

 アタシなんかとは年季が違うってか。


「構えたソレをどうするつもりかね」

「正直に教えてくれよ。でなけりゃ撃つぞ」


 いつまでものらりくらりさせねえ。

 そのためのポーズだコレは。

 撃つ気が無いのが見透かされてるのは業腹ごうはらだけど、それよりも、


「そろそろこの銃がクッソ安い理由を教えてくれよ」

「どうしてそうも銃が安いのが気に入らないのかね」


 ジイさんは、まるで奇妙な生き物にでも出くわしたかのような態度で、


「安く買い、高く売る。それでこそ商い、それこそが商人の商人たる所以ゆえんではないかね? うん?」


 とのたまいやがったのだった。

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