第243話 三人寄らずとも文殊の知恵は発動する
子供を諭すような口調で、「ヤツ」は言った。
(はじめの頃よりは随分材料も揃ってきたものじゃがの)
「だよな。情報収集はだいぶ進んだとは俺も思う」
だが、
(この一件、謎を解くにはもう少し調べがいるのう)
くつくつと「ヤツ」は嗤った。
「ミラベルには何かアテがあるのか?」
(まあの。もうふたつみっつ調べをつければユーマにも答えがわかろう)
「そんなもんかね」
(そんなものじゃ)
天寿を全うしても現世にしがみつくような
俺のへっぽこ推理よりはよほど信頼性が高い、と思う。
「確認だが、王の容態は加齢によるものだろうか?」
(王に会った時にも言うたがの、アレは呪いや毒の類ではない。儂が断言してやろう)
長年の無理がたたったか。それ以外の要因か。
俺が考えを巡らせていると、今度は「ヤツが」問うてきた。
(ユーマこそどうする。姫の擁立はどう考えても
そうだな。
出来物というか、化け物、変態の類だ。ヴィクトールの奴は。
ああいう、何もかもを駒のように決めつけられるような独善的な人間こそが王に相応しいのかもしれない。愛国心が少なからずあるのならば、だが。
「別にエリザヴェートを王にするのが契約なわけじゃない。平和的に解決できればそれでOKだろ」
(儂はユーマが平和的に解決した所を見た覚えが皆無なのじゃが? じゃが!?)
「やかましいわ! もう寝るぞ!」
(ふふん、ゆっくり休むがよい、我が宿主よ)
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