第228話 夜の王は嗤う
俺――
否、見ることを強要されていたという方が正しい。
視界は「ヤツ」が見ているものを俺に見せつける。
目を逸らすことも、まばたきすることさえ俺の意志には許されていない。
「ヤツ」に
「ヤツ」の創り出した死者の群れが帝国軍を蹂躙していく。
バラバラになった肉片を適当に繋げて
それらは飛びつき、噛みつき、引きちぎり、喰らい、そして喰らう。
虐殺された帝国兵もやがて起き上がり、死者の列に加わっていく。
――
ミラベル・アンクヤードという女の本質は「悪」だ。知っていた。
「ヤツ」が俺を
「ヤツ」の本性は“風”のウェントリアスと対峙した時のそれが最も近いのだろう。
そして、今。
「ヤツ」は戦場を
尊大に、
けれど寛容に、
慈愛に満ちた表情で、
自身が世界の王であるかのように、
俺の声で甲高く嗤っていた――
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