第156話 リスクとリターンが釣り合わない
王都に行くとなると、リスクは想定した分だけでも甚大だ。最悪の場合罪人として死ぬ。正直割に合う仕事ではないと思うが、断れない以上はきちんとしたリターンくらいは欲しいところだ。
「ふたつ確認させてくれ、エリザヴェート」
俺が第三王位継承権者を呼び捨てにすると、ノヴァが喚いた。
「ユーマ殿! 姫を呼び捨てにするなど!」
声を荒げるような話じゃないんだよなあ。少なくとも俺にとっては。
「知らん知らん。さっきからノヴァはあれこれ文句を言うがな、俺は王国の臣下でもなんでもない。王族相手に
「だが!」
「ノヴァ、お控えなさい」
「エリザ様」
「良いのです。呼び名などという些末事に拘っている時ではありません」
俺が後ろ盾になり、ゆくゆくは俺の後ろ盾になってもらう人物には、固定観念に囚われるようであって欲しくはない。そういった意味ではエリザヴェートは見込みはありそうだ。
「ユーマ様が確認なさりたいこととはなんでしょうか?」
切り替えも早い。一方、ノヴァはまだ唸っている。困ったやつだな。
「ひとつめは、エリザヴェートは今回のお家騒動をどう収めたいと考えている? 目的が明確でないと俺も何をしたらいいやら、力の貸しようがない」
俺の問いに、エリザヴェートはきっぱりとこう言い放った。
「私は、王位を望んでいるわけではございません。平和的な解決が私の希望です」
どれだけ控えめに見積もってもそれは不可能だろ。
「けれど、下らぬ争いで
「場合によっては玉座に座わる覚悟はある、と解釈していいか?」
「はい。父が快復せず、また、兄上たちが王たるに及ばないのであれば私が国を治める他ございません」
国獲りも視野、ね。
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