第106話 守護精霊サマへの対価は痛いか
「ノヴァは石窯作ったことあるのか?」
「ああ……プッ……あるぞ……フフッ」
「笑うな」
俺が真顔で言うとノヴァは顔を背けた。
「すまん……フッ」
耳真っ赤だぞ。肩が震えてるぞ。
「んっふっふ」
ほぼ肩車状態になってご満悦のウェントリアスの所業が、ノヴァが笑いを堪えている――堪えられていないが――の原因である。
“風”様、一体何が楽しいのか俺の髪の毛を結って遊んでいる。
伸びてきたとはいえ男性の短髪なのでそんなに綺麗に結えるわけもなく、俺の頭からは出来損ないの三つ編みモドキがいくつも生えている状態である。
「
「ないです。ありませんて」
「ならばよい♪」
「……フフッ」
ノヴァ、笑うな。
「――話を戻すぞ。俺は石窯なんてちらっと見たことがあるくらいで作り方も使い方も知らん。だから教えてくれないか?」
「それは勿論構わん。万事この赤の勇者に任せておくとい――フフッ」
「しつこいなお前」
「……ひ、ひとまずホテルのなるべく近くの平らな地面に土台を築くとしよう。それから、石以外にも粘土と枯草が必要だ。骸骨兵には悪いが調達を頼みたい」
骸骨兵はカタカタと頷き部隊を分けて行動を開始した。
そこへアイが駆けつけてきた。いつもより若干早足で。
「ユーマ様」
「なんだ? なんかあったか?」
「……っ!? いえ、なんでもございません……っ」
俯きがちになりながら、ちらちらとこちらを見ている。
「アイ、俺の
「……はい、ユーマ様。……いいえ決してそのようなことはありません。ええ、ユーマ様。どうぞご安心ください……」
「ブルータスお前もか」
「愉快愉快!」
ウェントリアスが呵呵大笑した。
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