第85話 基礎工事をやってると非常にしばしばよくある現象

「ユーマさん、大変ですよ!」


 なんかのタイトルみたいな呼び声の主はナターシャだった。

 事務所に飛び込んできた彼女は息を切らせて両膝に手をついていた。

 アレコレ作業をしていた俺は手を止めた。デスクの脇に積んであったダンボールからペットボトルの水をナターシャに渡してやる。


「どうした。また冒険者でも攻めて来たか?」


 ナターシャはペットボトルを一気にあおって一息つくと俺の言を否定した。


「そんなんじゃないですよ! 遺跡が出て来ちゃいました!」

「は?」

「遺跡ですよ! い・せ・き! 道路工事で山削ってたら遺跡掘り当てちゃいましたよ!」

「……勘弁してくれ」


 一難去ってまた一難だな。

 遺跡か。見なかったことにして埋め戻してやりたいがそうもいかんだろうな、異世界こっちだと。


「今、アイさんが作業の手を止めて警戒中です。不穏な気配は今の所ないみたいです」

「リュカとノヴァは?」

「どちらもまだ戻ってません」


 仕方ないな。


「疲れているところ悪いが、ナターシャはメイナード町長のところに行って報告と情報収集を頼む。俺はアイのところに行く」

「了解しましたっ!」

「できればメイナード町長を遺跡げんばまで引っ張ってこい」

「が、がんばります!」

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