第84話 道路工事の進捗は順調――だった

 コンダラの完成後、俺とナターシャはアイの様子を見に行った。

 アイは骸骨兵スケルトンウォリアーを指揮して草刈りをほぼ終え、道路づくりの準備をしていた。縄張りをして道のアウトラインを決めて、土留どどめの板を支える杭を打ち込んでいた。


「アイさんって、ほんとに万能超人ですよね……」

「そうだな。アイ、お疲れ」

「お疲れ様です、ユーマ様、ナターシャさん」

「順調そうだな」

「はい、今のところは。現在、骸骨兵総出そうでで道路工事中です。ユーマ様、一点質問なのですが道幅はどの程度にされますか」

「そうだな」


 馬車二台が行き違えるくらいは必要か。

 片側3メートルちょい。余裕を見て7メートルもあればいいか。成人男性の歩幅が70センチくらいだから俺の歩幅で十歩分くらいか。


「だいたいこれくらいだな」


 と歩いてアイに示す。

 アイは視線を集中させて、その感覚を記憶したようだった。


「――承知しました。ではそのように」

「坂道の折り返しは少し幅を膨らませておいてくれ。あと地ならし用のローラー作ったから使ってくれ」

「かしこまりました。ありがとうございます」

「何か問題発生したら連絡をくれ。現場は任せる。それと時間があったらナターシャに稽古をつけておいてくれると助かる」

「承ります。さあ、ナターシャさん」

「げえっ」

「げえっ、って言うな。げえっ、て」


 まあ何事も起こらないだろう。そう思っていた時期が俺にもありました――

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