第58話 このふたり、相性がいいのかわるいのか

 シュラがこちらにきたおかげでリュカも渋々寄って来た。

 将を射んとする者はまず馬を射よ、だな。獣人とデュワンゴだけど。


「うにゅー!」

「そんな顔すんなよ。リュカにもカルパスやるから」

「ほんとデスカ!」


 ちょろい。


「安易な餌付けはどうかと思います、ユーマ様」

「ジブン餌付けされてるデスカ!?」

「違う違う」


 俺がカルパスの包装を剥いて差し出してやると、リュカは反射的に噛り付いた。


「痛い痛い! 指は食うな!」

「うにゃっ!」


 慌てて噛むのをやめるリュカ。

 おお、血が出てる。流石獣人、歯が鋭い。

 俺は感心していたが、静かにキレているのがひとりいた。


「ユーマ様に何をしているのですか獣人」

「ふにゃっ!?」


 アイのあからさまな殺気にリュカの耳がぺたんと伏せる。


「アイ、やめろ。大した怪我じゃない」

「……左様ですか。獣人、次はありません。気を付けなさい」

「うにゅー……。はいデスヨ」


 素直に頷くリュカ。殆どオカンに躾けられてる犬猫の類だな。

 そのリュカがちらちらこっちを見ている。

 ここはチャンスかな。


「なあリュカ、俺の質問に答えてくれたら、この件は不問にする」

「質問デス?」

「うん。教えて欲しいことがあるんだ」

「い、依頼に関することは教えられないデスヨ!」

「わかってるわかってる」


 知りたいのはそんなことじゃない。


「リュカのこと、獣人のこと、教えてくれよ」

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