第17話 当ホテルは守るに好適な防衛拠点です?

 ――俺の異世界生活も3日目に突入した。


 俺は周辺の探索に回していた骸骨兵スケルトンウォリアーのグループをホテルの防衛に就けることにした。昨日のような冒険者を警戒してのことだ。幸いなことに、崖と橋で隔てられている上に橋よりも高所にホテルはある。守るに適した堅牢な防衛拠点――ホテルが防衛拠点ってなんなんだ――ではある。

 ではあるのだが、


異世界こっちの兵器事情がどうなってるかによるよな」


 昨日、第一異世界人冒険者たちの言動を聞いたり装備を検分したりした感じ、ミサイルとか銃火器とかそういう現代的な飛び道具は出てこないだろう。


「でも投石器くらいはあるだろ。たぶん」

(この山道を持っては来れまいよ。それに麓の集落にたむろしている程度の冒険者は所有しておらんと思うぞ。攻城兵器じゃし)

「そうか。じゃあとりあえず高所の優位を生かすために弓でも作らせとくか」


 どんどんホテル経営から遠ざかっている気がする。

 というか実際遠ざかっている。

 目処が立たないどころではない。


 冒険者の誤解を解く必要があるのだ。

 ただ、それより先に連中の襲撃に備える必要がある。

 そして迎撃態勢を整えれば整えるほど、誤解は深まる。

 負のスパイラルにどっぷりハマってるな。


 どうしたものか。

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