愛情とは、たまご焼きの端っこを譲り渡すことである。
ねこのだいふく
第1話
「愛情とは、たまご焼きの端っこを譲り渡すことである。」
そういう彼女の目は、真っ直ぐ前を見ていた。
ここは教室、夏休みの宿題であった作文の発表を行っている最中のこと
寝ている子、不思議そうな顔をして少女に視線を向ける子、つまらなさそうに窓の外をみている子
そんなクラスメイトをものともせず彼女は堂々と告げる。
少女の腐れ縁の友達は彼女の話に耳を傾けながらこう思った、決定された思考は変わらない。
それはアスファルトが揺れて見える暑い日のこと。
-あのね、愛情ってのはね、たまご焼きの端っこをあげることなんだよ。
少女と少女の帰り道で行われる不釣り合いなようで不揃いな会話
親と子のように少女は諭す
-あのね、親と子のように見返りを求めず奉仕することが愛なんだって
少女はあまり興味がなさそうに少女に問う
-パンの端っこじゃダメなの?
-うん、きっとたまご焼きじゃなきゃダメなんだと思う。
その時の記憶が正しければ、少女はたまご焼きを作ったことも人に振舞ったことも無い筈だ。
なのにこうも正しいと言うように話せるのは彼女の中でそれが正しいという事なのだろうか。
そう思考を巡らせてる遠くの方でチャイムがなった
嗚呼、彼女は今日も作ってきたのだろうか
誰にも渡す先のない、若干焦げた味のするたまご焼きの端っこを
愛情とは、たまご焼きの端っこを譲り渡すことである。 ねこのだいふく @neko_no_daihuku
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