9・・宴

 その後、僕はマナの案内でメイズンの城へと行く。

森の中を歩き進み、

1人では迷うだろう道。


 やがて城が見える。


まるで、そこだけ世界が違うようだ。

無機質な鋼鉄とコンクリートに固められた、

自然とは対極のような城。


 たどり着くと、皆に歓迎される。

温かい食事をいただき、

俺は大いに楽しむ。


マナを見ると俺を見て微笑んでいる。


向かい入れてくれたのは。

メイズン国王。

年齢は40歳位か。

髭を蓄え、金の長髪。

威厳ある顔付きと風体。

国王らしく見えた。


「記憶が無いらしいな?旅人よ」

そう言いながら

俺を気遣い食事を用意してくれた。

 

一国の主が自ら向かい入れてくれるなんて。

俺は感謝した。


――――

大いに賑わったその夜の宴を終え、

俺は、城壁の外、

城下町の

宿屋のベットに横たわりながら

考えていた。


今日あったこと。


(あの樹を触った時の感覚)

人肌を感じた。


普通の樹ならば、そんな感覚はしないだろう。


そして、マナ、

彼女の存在。


(どこかで・・)

と僕は目を瞑り、考えを巡らせていた。


その時、


(ガシャーン!)

と何かが壊れる粉砕音で飛び起きる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る