6・・聖樹(マナ)

巨大な樹に寄り添っている少女。


俺は見とれていた。

それは、彼女の美しさか、

自然的な何かなのか。


神秘的だ。


俺はその目の前の事に対して、

思うように言葉が出せなくなる。


じっと少女を見ていると、

彼女は俺の方を向く。


そして、目が合う。

その間は数刻、

彼女は優しい笑みを浮かべる。


俺は

「あ・・」

と、何を話すべきか解らなかった。


何も語らずにいると

彼女は優しい笑みを浮かべ、

樹に優しく触れる。


そして

「こっちへ来て」

と俺を呼ぶ。


呼ばれるまま、樹の近くに寄る。

彼女のそばに行く。


すると俺の手に、

ス とやさしく触れて

手を樹へと触れらせる。


「あ」

ドキッとしたがその間もなく、

樹の感触に驚く。


「温かい」

この樹の感触、温かくて

そして表面が少し動いている。


この感じ、何かを思い出させる、

すごく身近な感触。


人肌だ。

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