5・・夢覚めた頃に

 まるで迷路か、そんな中を、ただ突き進む。

棘が刺さり痛みを伴い、

濃い霧が覆う。


 それはさっき夢で見た光景と似ていた。

俺は痛めつけられる。

 でも、あの泉の水のお陰だろうか?

力が湧いてくる。

少女に会いたいという、強い気持ちもあった。


―――やがて俺は、樹の根元にたどり着く。

 

樹の直径は100m以上はあるだろう。

茶色く濃い。木目が複雑に入り組んでいる。


「なんて大きいんだ」

俺は唖然として見上げる。

雲が見える。

その雲より高くそびえる巨大な樹。


高さは恐らく10㎞あるだろうか?


それでもまだ先はあり、霞んで続いている。


俺はしばらく眺める。


見たことが無い。

恐ろしくて不思議だ。


そんなことを思っていると、

何かを感じた。


自然に目を下ろし根元を見る。


そこに、少女は居た。

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