第12話 AmIindifferent to you?(私があなたに関心がないとでも?)

植物園なんて何年振りに来ただろうか。


しかし、この時期に咲く花ってどんなのが有るだろう?かなり遅咲きだった今年の桜も、もう散ってしまった。


「この時期ってどんな花が咲いてるんですか?」


彼女にそう聞いてみる、


「そうね、もう桜は散っちゃたし、アザレアや、ふじの花、ハナミズキは有名よね」




「へぇ、先輩博学ですね…」




「これくらい一般教養よ、こんな事も知らないの?」


彼女はそう言った、ごめんなさいね一般教養も備わってなくて…


「花はあんまり知らないんですよ…」


そんな俺と彼女の前に赤や黄色、オレンジと言ったカラフルで小さな花が見えてきた。


「あの花は何て言うんですか?」




「あれはポピーよ、見たこと無いの?」


何か小馬鹿にされたような気がする……


そんな事を思っている俺を余所に彼女は続けてこう言う。


「私は好きよ、この花…特に今はね……」


特に今は……って何だそれ………


「そうなんですか……」




「さぁ、他の花も見てみましょう」


彼女はそう急かしてくる……………




次に見えてきたのは透き通った白や桃色の花をつけた小さな木、ハナミズキだ、流石にこれは知っている。


「ハナミズキですね」




「流石にこれは知ってるようね」


やはり彼女は俺を小馬鹿にしてきてるような気がする……


それはそうと、俺には少し気になっている事がある。


何故彼女が今日、俺を此処に誘ったのかだ。


「そう言えば、何で今日俺を誘ったんですか?」


彼女に聞いてみる、


「だから、誘う相手がいなかっただけよ」


彼女はそう言った。


「一人で二回来れば良かったじゃないですか、第一、先輩はあんまり俺に興味無いと思ってましたから」




「嫌よ、一人で二回なんて、そんなの絶対退屈じゃない……それに………」


続けて何かを言おうとする彼女を制止するように閉園のアナウンスが流れる。


「…………帰りましょうか」


彼女に言われるがまま植物園を出て駅に向かう、


駅の改札を抜けると電車はもう着いていて、発車時刻を待っている状態だった、


急いで乗り込むと、それと同時にベルが鳴りドアが閉まる、ギリギリだった。


「ギリギリ間に合いましたね…」




「えぇ、良かったわね……」






そして、電車が出発して暫くしても俺はさっき彼女が言いかけた事が気になっていた。


「そういえば……」


俺が言いかけると、彼女は眺めていた外の景色から視線を俺へと向けてくる、


「そう言えば、さっき言いかけてた事…」


俺がそう聞くと、


「あぁ、それね、……………AmIindifferent to you?」




「ア、アム?」


え?英語?分からないんですけど、


俺は英語の成績がとてつもなく悪く、頑張って理解しようとしたが無理だった。


すると、地元の駅に着き、俺と彼女は電車を降りる。












「どんな意味なんですか?」




「これくらいの英会話も出来ないでよく高校に入れたわね…」


帰る途中、さっきの英語の意味を聞いてはみたが、こんな風に彼女は俺を馬鹿にするだけで教えてくれない。




でも、まぁ思ったより楽しい日になって良かったと、俺は柄にもなくそんな事を思っていたのだった。


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