第9話 どうせ暇なんでしょう?

放課後、保健室で寝ている龍を起こし校門まで送ると、やはり先輩は俺より先に来て待っていた。


「先輩、遅れてすいません…」

俺は怒られると思いそれより先に謝罪すると、

「別にいいわよ、怒ってないから」

彼女が言う、本当に怒ってないのだろうか?

そんなことを考えていると、

「さぁ、行きましょうか」

彼女はそう言った。



帰宅途中、いきなり彼女が喋り出す。

「日曜日って暇かしら?」


「えっ?」

俺がそう聞くと、

「だから、日曜日は暇かって聞いてるのよ!」

彼女は強めの口調でこう言った。


何故彼女はこんなことを聞くのだろうか?

日曜日に何かがあると言うのか?

また買い物に付き合わされるのだろうか?

そう考えていると彼女が話を進めていく。


「どうせ暇なんでしょう?」

確かに暇だが面倒臭い事には巻き込まれたくない。

「い、いや、日曜日は用事があってですね…」

咄嗟に嘘をついてしまった。


「本当に?何があるの?」

彼女がそう聞いてくる、物凄い圧だ。

「えっと……………すいません嘘です…用事なんてありません」

彼女の圧に負けて本当の事を言ってしまった。


「この際、嘘をついた事は許してあげるわ、とりあえず暇なのね」

微笑みながら彼女は言う。


「はい……」


そして、彼女はバックから紙切れを出しこう言った。

「ここに動物園のチケットが二枚あるわ、親に貰ったの、一緒に行きましょう!」


「えっ?僕ですか?他に友達とかいないんですか?」

出来ればこのクエストは回避したい。


「この私に友達がいると思う?」

彼女はそう言い放った。

こんな性格の彼女だ、とても友達がいるとは思えない。


「………………………」

俺は何も言い返せなかった。


「つまりはそう言う事よ!」

何故彼女は自信満々にこんな事を言うのだろうか?


「いやでも、二人きりはちょっと……」

二人でそんなところに行くなんてまるでデートではないか。


「そんな事はどうでもいいのよ!」

彼女はさっきより更に強い口調で言う。


「わかりました、日曜日ですね…」

そう言うと彼女は微笑み、

「ありがとう」

と言った、別に感謝されるような事はしてないのだが…


「じゃあ、日曜日の朝十時にエントランスに集合ね!」

彼女は俺に約束を取り付ける。


「はい…」

俺はそう言う他無かった。


エントランスで彼女と別れ家に帰る。


日曜日、つまり明明後日のゴールデンウィーク二日目………………面倒臭いな。


それでも俺は、流れる時間を止める事も出来ずに波乱のゴールデンウィークを迎えることになる。

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