第6話 コーヒーゼリーはお好きですか?
放課後、帰ろうと思い校門を通ると、制服を掴まれ呼び止められる。
「あなた、何で勝手に帰ろうとしてんのよ」
どうやら彼女は怒っているらしい。
「帰りもお願いって言ったじゃない!」
「そうでしたっけ?」
俺がそう言うと彼女は
「そうよ!」
と言う、更に機嫌を悪くしたらしい。
クソッ、このまま一人で帰ろうと思ったのに、今日もこの女と帰らないといけないのか…
帰宅途中、彼女は一言も話さない、
一向に機嫌が直らないのだ。
折角一緒に帰っているのにお互い無言だと気まずすぎて吐きそうになってしまう。
なんとか彼女の機嫌を直すべく、ヒントを求め周りを見渡す。
どうやら右前方にクレープ屋があるようだ。
「せ、先輩、クレープ食べますか?」
「私、甘いの苦手なのだけど…」
「………」
仕舞った、甘いのが苦手だなんて…そもそも世の女子高生全員が甘党な訳ではないのに…
「じ、じゃあ、喫茶店で珈琲でもどうですか?」
すると、彼女は黙って頷く
喫茶店に入りテーブル席に座ると、店員が注文を聞きに来る。
「ご注文はお決まりでしょうか?」
「ブレンド珈琲ブラックで後、珈琲ゼリー下さい」
「じゃあ、私もブレンド珈琲ブラックで」
店員が注文を復唱し厨房へと向かった。
「先輩、機嫌直して下さいよ」
「別に…」
先輩は機嫌を直さない、直してくれない。
食事にでも誘えば、元に戻ると思ったのに…
いや待てよ、最初に会った時も冷たかったじゃないか、むしろ、これが本当の彼女姿なのではないか?
そう思い始めていると、店員が注文を届けに来る。
この店の珈琲は美味い、これで先輩が機嫌を直してくれればいいのだが…
「美味しいわね、また来ようかしら…」
気に入ってくれたようだ、珈琲を……
「この店は何を頼んでも外れが無いんで、お勧めですよ」
特にこの店の珈琲ゼリーは絶品中の絶品だ、俺も週一で通っている。
「そうなの……」
彼女はそっけなくそう言った、
機嫌直してくれたと思ったのに。
「………」
また無言の時間が訪れる、気まずい、気まずすぎる、
こんなの陰キャボッチの俺にどうしろと言うのだ。
誰か助けてくれないかな…
俺は珈琲ゼリーを食べながら心の中で誰かに助けを求めていた。
珈琲ゼリーを食べ終わり、珈琲も飲み終わり、これ以上店にいても解決しなさそうだ。
しょうがない帰るか、そう思い彼女に告げる。
「帰りますか?」
「えぇ」
やはり彼女の機嫌は直っていなかった。
俺の奢りで会計を済ませ、店を後にする。
家に帰る途中も彼女は一言も喋らなっかた、
家事を済ませ自分の部屋に戻ると携帯に通知が入る、
開くと先輩からLINEで「「私の機嫌を直そうとあたふたする奏太君は可愛かったわ後、珈琲ありがとう」」
と送られてきた。
掌で踊らされてた感に苛立った俺はLINEを無視し眠りに着いた。
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