第3話塩と胡椒は使いよう
「LINEを交換しましょう」
彼女は自らの家に背を向けこう言った。
もしかして、この面倒くさい女とこれからも付き合わなけれ
ばいけないのか?
そう思ったが、断ることも出来ず携帯を出し
LINEを交換した。
「今日はありがとう、とても助かったわ
おやすみなさい」
彼女はもう一度礼を言うと、今度はすんなりと帰っていた。
やっと解放されたと清々しい気持ちで家に帰る。
「ただいま」
いつもの何気ない帰宅の合図だ
すると、
「おかえりなさい、奏太」
これも何気ない向かい入れの合図
女子と買い物などと言う、俺かすれば非日常的な時間から、日常に戻ったと言う感覚だ。
「あら、何かあったの?三時には学校終わってたわよね?」
そう聞くのは俺の母親だ。
うちは母子家庭なのだが、親同士が離婚してから十年間女手一つで俺と妹を育ててくれたバリバリのキャリアウーマンだ。
ちなみに妹は部活のために全寮制の女子中に行っている。
「あぁ、散歩にね」
あながち間違えてはない。
「あらそう、仕事で疲れたわ、早くご飯作って~」
母はソファーにもたれ気の抜けた声でそう言った。
いつも仕事で疲れている母の代わりに平日の炊事、洗濯、掃除は俺が行っているのだ。
「オムライスでいいか?」
そう言うと
「いいとも~」
と、答える
いや、今の子供にそれ言っても伝わらないからね母さん!
そっと心の中で思っていた。
さてと、晩飯の作業に入るとするか。
家族団欒の時間を過ごし、寝るために部屋に戻ると、携帯に通知が入っていたことに気づく。
どうやら、先程の彼女の様だった。内容を確認すると
また面倒臭い話が舞い込んでくる。
「「明日からしばらくの間、登下校を一緒にして欲しいのだけど可能かしら?今日は親に車で送って貰ったのだけど、親にも用事があるから」」
どうやら、またクエストを受けなければいけないようだ、それに今度は長期イベントらしい。
「「いいですよ、つきましては明日七時にエントランスの待合室集合で良いでしょうか?」」
とだけ返すと驚くべきスピードで返信が来る。
「「ありがとう、それじゃあまた明日、おやすみなさい」」
そして、俺はやっとの思いで眠りに着いたのだった。
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