第1話メインクエストLv1はLv100?
「ありがとう!」
そう言うと、彼女は嬉しそうに笑っていた。
だが、どうしたものか普段しろむらの服しか着てない俺からすればいきなりの高難易度のクエストである。
あれか?ユニシロとかが良いのだろうか?
しかし、現在地から最寄りのユニシロまでは徒歩で四十分ほどかかってしまう。
田舎だからな欲しい場所に欲しい店がなかなかないのだ。
だが此処から五分も歩けば最近出来たばかりのショッピングモールがあるのだ!
これでもう休日に暇を弄ぶことは無いのである!
都合がいい、適当にモールの中を案内しよう。
「そうですね、此処から五分も歩けばショッピングモールがあるのでそこで良いですか?」
すると、彼女は少し悩んでから素っ気ない返事をする。
「いいわ、其処にしましょう」
ショッピングモールにて…
「着きましたよ」
俺がそう言うとまたもや彼女は素っ気なく
「そうみたいね」
と、言った。
周りを見渡すと、どうやら一階はスーパーマーケットらしい、
とりあえずエレベーターを探すところから始めよう。
適当に歩いているとエレベーターを見つけた。
モール内の地図を見るとファッションショップ五階に集中しているようだ。
エレベーターで五階に上がり彼女に告げる。
「先輩、着きましたよ」
「そうね、適当に見て回るわ」
彼女はそう言うとゆっくりと歩き始める。
「じゃあ僕は、そこのベンチに座っているので終わったら言ってください」
すると、彼女は振り返りこちらを向く。
……
沈黙がその場を支配する。
「え?」
彼女は何か不思議そうにしている。
「え?僕も行くんですか?」
そう言うと彼女は本の少し声を荒げてこう言った。
「え?貴方、女の子と買い物に行ったこと無いの?」
何を言うか、俺みたいな地味男子が女の子と買い物に行くなどあり得ないのである。
「無いですよ」
そんな事を言う彼女はさぞかし男性経験が豊富なのだろう。
「まぁ、私も男と買い物何てしたこと無いけどね」
「無いのかよ!!」
つい声に出してしまった。
すると彼女はギロッと此方を睨んでくる。
それこそ、背筋が凍るくらいにだ。
「何か言ったかしら?」
こんなにも恐怖を感じたのは初めてだ。
「いえ、滅相も御座いません」
そう言うと彼女は服屋の方を向きこう言う。
「貴方も、一緒に服を選ぶのよ」
そう言われ、渋々一緒に服を見ることになってしまった。
けど、俺みたいな地味男子に服を選べと言われても無理があるのだ。
彼女には悪いが適当に選んでしまおう。
すると、彼女はいきなり問いかける。
「ねぇ、右と左どっちの服が似合うと思う?」
右は清楚な青系のシャツとロングスカート
左はカジュアル系のワンピースのようなパーカー
正直、どちらも似合うと思うのだが。
黒髪ロングで色白な彼女には右の清楚なコーデが似合うと思う。
「右じゃないですか?て言うか先輩美人ですしどっちも似合うと思いますよ」
そう言うと、彼女は頬を赤らめこう言う。
「い、いきなり何を言うのかしら、セクハラで訴えられてもおかしくない発言よ、気持ち悪い!」
言葉使いこそあれだが今の今まで、素っ気ない態度だった彼女がいきなりデレたのだ。
そして、以外と可愛いなと思ってしまう自分の姿が其処にはあった。
いや待てよ、適当に選ぼうと思ってたのにしっかりと考えて選んでしまったではないか。
けれど、彼女はちゃっかり右の服を買い物かごに入れていたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます