第5話 俺は空気をよめない才能をもっているんだろう

「ほら〜! あの花きれいだよ?」


「・・・ああ。そうだな」


「見てみて〜 小鳥じゃん! 可愛い〜!」


「・・・ああ。そうだな」


「もう〜 ちょっとは関心もって楽しもうよ〜!」


ほんとに疲れる。まずは俺には関心という概念があまり存在しないからな。


「第一・・・ あの誰か忘れたけど姉妹で行けばいいだろ?」


「たまにはいいじゃん! リフレッシュだよ〜!」


何がリフレッシュなのか意味がわからん。それじゃあ別に俺じゃなくてもいいじゃねえか。


「そうだ! カフェにでも行こっか?」


「却下・・・」


「問答無用! 行くよ!」


「お、おい・・・」


次から気をつけること。散歩と言われると絶対違う場所に連れてこられる。


■◆◇


「う〜ん・・・ どこがいいかなぁ?」


「別にどこでも一緒だろ?」


「何言ってんのよ? 全然違うんだよ?」


「・・・・・」


カフェを選んで何が楽しいのか? ああ〜 女子って怖え・・・


「よし! ここに行こう!」


玲菜が選んだのは新築のおしゃれなカフェ。あっ。いつの間にか名前覚えてきたなぁ。


「いらっしゃいませ〜 何名様でしょうか?」


「はい。2人で」


「かしこまりました。お2人様ですね。お2人さ恋人同士か何かで?」


「もちろん・・・」


「違います。赤の他人です」


「・・・・・」


「そ、そうですか・・・ か、かしこまりました。ではこちらへ」


店員のぎこちない雰囲気の中で席に座る。


「もう〜 どうして君はあんなこと言っちゃうかなぁ?」


「だって恋人じゃねえだろ?」


「それでも赤の他人って・・・ もうちょっと空気よもうよ〜 例えば・・・ こいつは俺の彼女です!とか。わぁ! キュンキュン💓しちゃうよ」


いや。嘘つく必要はないだろ。


「1人で勝手に盛り上がるな。俺は空気がよめない天才なんだ。ちょっとは尊敬しろ」


「うわぁ〜 彼女できないね〜」


「・・・・・」


俺の青春は永遠に来ないのだろう。多分・・・


「で? 何食べる?」


「俺は・・・ アイスティーで・・・」


「このカップルジュースにしようか?」


「おいこら💢」


たった今赤の他人だと言ったばかりだろ? こいつ・・・ 話を聞かないタイプだな。


「いいじゃ〜ん! せっかくだしね! お願い❤️」


そんな顔されても全く可愛いとは思わないのだが・・・ 仕方ない。「せっかく」だからな。


「じゃあそれ頼もうか」


「やった〜! さすが直斗くんだねぇ❤️」


「・・・・・」


次カフェに来る時気をつけること。恋人メニューがあるカフェに行くのは禁止。






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