第4話 散歩が無駄な行為と知っているか?

「何の用だ?」


俺は慎重にドアを開け、外を見回した。


「ふふふ。ほんとに出るの遅いね?」


「ああ? ・・・他のやつは?」


見たところ他の2人がいない。ちなみに誰がいないのかはわからん。


「ああ。今は私しかいないよ?」


「お前は・・・?」


「玲菜だよ! 覚えてね?」


「あ〜・・・ 覚えられたら。な」


いちいち人の名前を覚えるのは苦手だ。なぜなら今まで覚えるくらい仲良くなった友達がいないからな。


「それより何の用だ?」


「いやぁ・・・ ちょっと親交を深めようと思ってねぇ。この可愛い私がデートしてあげる❤️」


「俺用事あるんで・・・」


即刻却下だ。デートとか絶対嫌だ。まずしたことねえし。


「ほら! そんなこと言わずに行くわよ!」


「え⁉︎ ちょ、ちょっと待て〜!」


ドアをしっかり閉めてなかったことが災いし、俺は部屋の外に引っ張られた。


「ふふふ。脱出成功だねぇ〜」


「・・・・・」


明日から気をつけること。むやみにドアを開けない。


◾️◆◇


太陽が眩しい。外が暑い。やっぱり外は嫌いだ。


「・・・帰らしてくれないか?」


「だめだよ〜! 親交を深めるだけだから。別に私あなたのことが好きなわけじゃないし」


じゃあ関わらないでくれよと言いたくなる。


「どこ行くんだ?」


「もちろんラブホかなぁ?」


「・・・帰る💢」


「じょ、冗談だよ? てへ❤️」


「可愛くないぞ・・・」


「またまたそんなこと言っちゃうね?」


このやりとりがめんどくさい。だから人とは関わりなくないんだよ。


「で? どこ行くんだ?」


「まあ・・・ 散歩かな?」


「散歩⁉︎ そんなしょうもないことに連れてきたのか⁉︎」


散歩。それはただ歩くという無駄な行為を繰り返してエネルギーを消費するという全く意味のないことだ。歩くだけなら家で寝ていた方が絶対いいではないか。


「そんなつれないこと言わないの。この私と散歩できるんだからね❤️ 私がエッチなことでもなんでもしてあげるよ❤️ 」


「・・・やっぱ帰っていいか?」


「じょ、冗談だよ〜 少しくらいのってくれても・・・」


「・・・早く歩け」


「・・・は〜い」


貴重な週末。何が起こるか誰にも想像できませんね?



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