第3話 自己紹介はいらないですから・・・

ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。


さて・・・ このインターホンは今日で何度目だろうか? 朝早くは仕方なく出てやったが、もはやその気にもなれない。どうせ月曜日になれば嫌でも会わなくてはいけないのだから、休みの日くらい顔を合わせなくてもバチは当たらないだろう。


30分後・・・


ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。


ほんとに俺の考えが甘かった。朝のは仕方ないと思うが・・・ ふつう30分間もインターホン鳴らし続けるか? いや。もはやあいつらはふつうではないか。


「くっそ〜 うるせえな〜」


俺は仕方なくもう一度出ることにした。


「もう〜 中々出ないんだから〜」


「君は中々強情だね〜」


「加賀くんはやはり変です」


「俺からしたらお前らの方が変だよ・・・」


30分間家の前でインターホンを押しまくる三つ子。どこからどう見ても変だろ。


「そういえば、まだ下の名前聞いてないんだけど?」


「私も聞いてない!」


「お前らに言うつもりは・・・」


「直斗だったと思いますが?」


「おいこら💢」


「へぇ〜 じゃあ直斗くんでいいかな?」


「私は直斗で!」


くっそ〜 めんどくせえ〜 名前なんかどうでもいいだろ? 第一、俺はこいつらの名前を覚えてねえし。一応聞いておいた方がいいか?


「え〜っと・・・ お前は?」


「私は玲菜だよ? 玲奈ちゃん❤️って呼んでくれても・・・」


「却下だ💢」


「え〜! ちょっとくらい呼んでくれても・・・」


「はい。次はお前」


「私は優菜です。席が横だからわかるでしょう?」


「ああ。お前みたいなやつは知らんが」


「い、いや。あの時自己紹介を・・・」


「あ〜 もういい。最後。お前」


「私は陽菜です!ですよ? 読み方間違えないで下さいね? 私のモットーは元気いっぱいで・・・」


「はいはい。もういいから。じゃあさよなら」


「え? もう行っちゃうのかな?」


「あなたはもっと笑顔になるべきでしょう?」


「もっと一緒に話して行こうよ」


「きゃ・っ・か・だ💢!」


俺はもう一度ドアを閉めて部屋の中に入った。昼には来ないことを祈って勉強でもしておこう。


2時間後・・・


ピンポーン。ピンポーン。ピンポーン。


「はぁ〜 次からはインターホンがない部屋に住むことにしよう・・・」




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