【番外編】智の恋
「諦めません」
「…」
「俺、美咲さんが好きです。別れることはできませんし…美咲さんの大切なお兄さんにも認めてもらいたいです」
こんなの自分の都合だけだって分かってる。でも、認めてもらうために必要なことが分からない…。今は気持ちをぶつけるしかない。
「…どこが好き?」
あ。話を聞いてもらえてる。
「えっと…」
どこが好き…か。さっき、かい兄さんにも聞かれた。俺が美咲さんの好きなところ…。
「…明るくて、前向きで、周りにもそれを分けてくれて。頼りになるし、頼ってもくれて、誰かのために行動できるところが素敵だと思います。好きなところ…と言われるとたくさんありすぎて、今思いついたことだけ言ったんですけど…」
「…」
うわぁ、黙ってる!! でも、俺は自分の気持ちを正直にぶつけるって決めたんだ!
「美咲…綺麗だろ」
「…はい!」
「見た目…」
ん? 悲しそうな顔…。
「美咲のこと、見た目でしか判断しないようなやつが多かった。俺の周りには、俺のことを見た目でしか判断しないやつばっかで、美咲にも同じ思いさせたくなかった」
たく兄さん…。
「美咲さん…は、見た目も中身も…綺麗でかわいらしい人です。お兄さんより、俺が知らないことの方が多いですけど、見た目だけで好きになったわけじゃありません。お兄さんのことまだまだ知らないことが多いですけど、お兄さんだって中身も素敵な人だってわかります」
たく兄さんは、きっと見た目だけで判断されて辛い思いをしたんだな…。
「お前…」
あれ…? このまま認めてもらえる空気だと思ったけど、違いました…か?
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