【番外編】智の恋

追い返されると思っていた、たく兄さんのお部屋に入れて頂いたのはいいものの…。


「…」


「…」


まずいまずいまずい…! やっぱプラン考えてから来るべきだったよな。


「おい」


「…はい!」


「用がねぇなら、帰ったら?」

…おぉぉ、そうですよね。帰…でも、美咲さんを諦めるなんてできない。


「美咲さんとのお付き合いを…」


「認めない」

ですよね〜…。えっとー。まずは、たく兄さんについて知ることから始めるか!


「お兄さんは…」


「お前の“お兄さん”ではない」

あぁ、そうでした〜…。なんて呼べばいいんだ?


「えっと、好きなものはありますか?」


「はぁ?」

うん。何聞いてんだろ、俺。


「すみません…」


「ゲーム。あとは、漫画」

おぉぉ、教えてくれた!!! ってか、俺も好きなものばっか〜。うん、テンションあがってる場合じゃないよな。


「なるほど…。いいですよね、ゲームも漫画も」


「…」

あぁぁ、答えてくれたからって調子乗ったー!!


「美咲は…」

お? たく兄さんから話してくれてる。


「美咲は…かわいいか?」


「へ?」

あ。まずい。どんな質問だ?と思って聞き返してしまった。


「美咲は、綺麗か?」

え。なになになに!? どういう意図で聞いてます!?


「えっと…かわいいし、綺麗…です」

嘘をつくのは嫌だけど、お兄さんの前で恥ずかしいです…!!


「…あっそ。帰れば?」

うわぁ、何だ!? 何を間違えた!?


「あの…」


「早く出てってくれる?」

本気の目だ…。でも、美咲さんが大切な人に認められない状態で付き合うなんて嫌だ。


…まだ、諦めない。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る