【番外編】智の恋

たく兄さんを待ちながら、お母様とかい兄さんにどこで知り合ったとか、どっちが告白したとかを聞かれています…。


「うふふ、智さんから告白したのね〜」


「はい…!」

あの時は緊張したなぁ…。まさか付き合えるなんて思ってもいなかった。


「智くんはさぁ、美咲のどこが好きだ?」


「へ!?」

どこが好き…かぁ。考えたこともなかったなぁ。


「や、やめてよ。かい兄!! 智くん困ってるでしょ!」


「いや…」

困って…るかも? 美咲さんはきれいだけど…俺にはもったいないくらいきれいだけど。好きなところは見た目…というよりも。


「あはは、ごめんごめん! 気になってさぁ〜。友達のカップルの馴れ初め聞いてる気分になってたよ〜」


「も〜、智くんを困らせないでね!」


「いえいえ、僕は大丈夫です!」


「おぉ、頼もしい!」


\あはは/


いやぁ、いいなぁー。皆でお茶飲んで…楽しく話して…。って、あれ? 何か忘れているような…。


\ガチャ/


「あら、帰ってきたわ」


「智くん、緊張しなくていいからな。拓海も悪いやつじゃないんだ」


「は…はい!」

そうだった…、たく兄さんとのバトルのために来たんだ…。緊張しなくてもって…めちゃくちゃ緊張しますよ!!




「ただいま〜、美咲帰ってきたか…」


「こ…こんにちは」

たく兄さん…そんなににらまないで下さい…。自己紹介…できないっす…。


「誰だよ、そいつ」


「たく兄…あのね。こちら今お付き合いしてる杉崎智くん! 智くんは…」


「別れてこいって言ったじゃん、何で家にいるわけ?」


「うん、ごめんね。でも、智くんのことわかってもらおうって…。智くんはね?…」


「俺聞いてないけど。勝手にすれば、俺部屋行く」


「あ…たく兄」

おぉぉ、何もいえなかった…。カッコ悪いな、俺…。それにしても、大好きな美咲さんにあの態度…相当な強敵か?


「美咲…ごめんなぁ、何も言ってやれなかったな」

かい兄さん…。


「仕方ないわ、すぐにわからせるのは難しいもの。後で話しておきますね。智さんもごめんなさいねぇ」

お母様…。


「い、いえ」


「美咲、今日は諦めて智さんとデート。楽しんでらっしゃい?」


「…でも」

悲しそうな、美咲さん…。デートして少しでも元気に…いや、違うか。


「美咲さん」


「智くん…ごめんね。うん。やっぱり、デート…行こうか!」


「美咲さん、無理して笑わないで下さい。…僕、たく兄さんとお話させてもらいたいです!」


「え?」


「マジか…」


俺も思ってます、マジかって…。何のプランもないけど、いつか認めてもらう第一歩を…!!

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