【番外編】 智の恋
「美咲さん家…。え、これ全部ですか!?」
「えへへー、言ってなかったけど。私のお家ちょっぴりお金持ちなの」
ちょっぴりじゃないです、この豪邸。いや、もう余計緊張が! え、身分が違うとか言われる感じ? 俺作法とか学んでないし、無礼者! とか言われて追い出されんの!?
「…くん、智くん! 大丈夫?」
「あ、すみません。衝撃がすごくて…。素敵なお家ですね」
「うふふ、ありがとう。どうする、今日はやめる?」
ここまで来たのにやめるのはかっこ悪いよなぁ。でも、準備とか全然してないし…。手土産とか持ってこないとだったよなぁ。やめさせてもらうしか…。
「美咲さん、やっぱり…」
「あれ、美咲? どうしたの…あら、どちら様?」
「あ、お母さん!」
お兄さんに会う前にお母様に遭遇!!! しかも不意打ちすぎる!!!
「は、はは初めまして! 杉崎智って言います!!! あの、その…」
まずい、俺お母様の前でテンパってる!!!
「あらぁ、初めまして。美咲の母です。ここで立ち話も何ですからどうぞ中へ」
「はい、ありがとうございます!」
こそっと美咲さんに“大丈夫?”と聞かれたが、“大丈夫です”と答えて美咲さんのお家にお邪魔することとなりました…。大丈夫じゃないよ!!!!!
「うふふ、美咲からお付き合いしている方を紹介される日が来るなんてねぇ」
「今日はね、たく兄に許してもらおうと思って来てもらったの」
お兄さんのことはたく兄って呼んでるのかぁ。それより、お母様は喜んでくれているようで一安心だ…。“手土産何もなくて”と話しても“高校生がそんなもの持ってくる必要はないのよ〜”と笑ってくれたし。
「あの子はねぇ…ほんとに美咲が大好きだからねぇ…。困ったわぁ」
お母様でも困る…俺の身は安全でしょうか? 防護服とか着てくるべきでしたか…?
「あれ、さくらじゃん。帰ってたの」
2階から…男性の声…。お父様には見えないし、これはお兄さんとのご対面…うぉぉ、頑張れ俺ー!!!
「あ、かい兄! 久しぶり〜、今日はね」
かい兄? たく兄さんとは違う方???
「おぉ〜、何々! 知らない顔がいるじゃ〜ん」
「…あの、杉崎智って言います! 美咲さんとお、お付き合いさせて頂いております!!」
「へぇ〜、よろしくー! 美咲がお世話になってます〜。そんな緊張しなくていいからー、俺は優しい兄貴だよ☆」
かい兄さんは受け入れてくれるタイプなのか…。ずっと緊張してるし、新しい人が増えるたびに心臓が飛び出しそうになるな…。まだ魔王(たく兄さん)に会えてないから、気を抜くなよ、俺!
「よ、よろしくお願いします!」
「うん! ってか、家に呼んだりして拓海に見られたら終わるぞー」
やっぱ、たく兄が恐ろしいのか…!
「うーん、たく兄に許してもらおうと思って来てて〜」
「なるほどねー、まぁできるだけ協力するけど。許されなくたって別に付き合ってればいいと思うけどねぇ」
やはり…たく兄さんはそんなに厳しいのか…。
「もう少ししたら帰ってくると思うわよ。私も協力するからね!」
「ありがとう、皆で頑張ろうね!」
「おぅ」
「わかったわ」
たく兄との壮絶な戦いが始まるようです。味方の方が多いですけど…。
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