【番外編】智の恋
引き続き、智の恋というわけですが。えー、どうも智です。美咲さんの話を聞きたいと思います。
「あのね…」
美咲さん、話始めた…! よし、心して聞くぞ!
「失礼いたします」
あ。
「こちらコーヒーとオレンジジュースになります」
「ありがとうございます」
店員さん! タイミング悪い!!
「以上でおそろいでしょうか」
「はい」
頼んだの俺だし、店員さんは悪くない。怒ってすみません(心の中でだけど)。
「ふー、じゃあ美咲さんお願いします」
「…うん! あのね」
ここで誰か邪魔したら作者のこと怨むからな! (ちぇ、邪魔するのやめよ by作者)
「私のお兄ちゃん、すごくシスコンで…。今朝彼氏がいるってバレちゃって…許さんって聞かなくて…」
…予想外の展開。あのイケメンお兄さんがシスコンで、妹を束縛? 見た目じゃわからんな。でも、美咲さんかわいいから仕方ないか。
「そうなんだ」
「うん、それで…。別れてこいって言われて…」
「え!」
急展開! お兄さんに会いに行く感じかと思いきや、会う以前に別れろと!? ってか、別れ話かなって俺の考えあながち間違ってないやん。
「わ…私は智くんと別れるつもりなんてないし、家出てくる時も別れないって言って来たけど。智くんが…そのいつかお兄ちゃんと会わないといけなくなったりして…嫌な気持ちになるなら…」
「美咲さん。俺別れないよ?」
「え…」
「お兄さんとどう折り合いをつけるかは検討課題だけど、その中に別れるって選択肢はないから。言ったでしょ、何を聞いても好きだって。俺はずっと美咲さんのことが大好きだから別れることはないよ」
「…」
え、あれ? 自分の気持ち伝わったかと思ったけど、美咲さん泣いて…。
「大丈夫? ごめん、嫌なこと言った?」
首を振ってる、嫌なことを言ったわけじゃないか。よかった。
「嬉しくて…。前に付き合った人皆、お兄ちゃんのことで別れちゃって。また、同じことになっちゃうって…」
「これくらいで別れるほど、俺の好きは軽くないよ? でも」
「ん?」
「前に付き合った人とか言わないでくださいー! 妬きますよ」
「…付き合ったって言っても、何もなかったし。お兄ちゃんのことですぐ別れちゃったから妬くようなことはないと思う」
「それでも、俺以外の話は…嫌だって思っちゃいます。ごめん」
「えへへ、嬉しい。これからはしない」
美咲さん笑った。
「ありがと」
「えっと、それでお兄ちゃんのことなんだけど」
お、そうだった。肝心な部分を忘れかけてた!
「どうしましょうね」
会いに行くのは火に油を注ぎそうだけど。
「…行く?」
「ん?」
「私のお家に行きますか?」
ラブラブデートを楽しめるはずが、美咲さんのシスコン兄貴と真っ向勝負の展開が待ち受けているようです…。
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