149話 水族館編

さくらは、俺がこの水族館デート(?)を辛いと感じていたと思ったようだ。確かに告白しなきゃって気持ちできたからいつもと違ったかもしれないけど…。辛いってどういうことだ?


「どういうこと? ごめん、俺マジでわかんない」


「ふーくんって…花ちゃんのこと好きだよね…?」


「え」

えぇ!? いやいや、山本さんは素敵な人だけど。だけどね、さくらさんよ! 俺は何年も何年もあなたに片想いをしているわけですよ!! って、俺が伝えてないから…伝わんないんだけどさぁ!


「ふーくん女子に興味ないのかなぁって思ってたけど、最近花ちゃんと仲良いし〜。それで、好きな人できたって言ってたからそうかなぁって。…応援しようと思ったんだけど、花ちゃん彼氏いたからそれで最近元気なかったんだよね? 今日だって気晴らしになればって思ったけど…まさか花ちゃんカップルを見ることになるとは」


…さくら。すごい勘違いだぞ? 俺はさくらが好きでさくら以外の女子に興味ないから今まで関わって来なかった。確かに山本さんとは、たまに話すけど。おばあちゃんの話か、さくらの繋がりってだけだ。ってか、“応援しようと思った”って…。


「えっと。さくら、いろいろ考えてくれてありがたいけど。俺の好きな人は…山本さんじゃないぞ?」


「え。え、え!! ほんとに? ずっと花ちゃんのこと好きなんだと思ってた!」

おいおいおい、俺結構さくらにバレるくらい好きオーラ出してると思ってたんだけど!? わかんないもん!?


「…マジか。まぁ、俺の好きな人は山本さんじゃないし。山本さん達カップルは微笑ましかったぞ」


「ふーん、そうなのかー」

納得いってなさそうだな…。んー、ここで“俺が好きなのはさくら”って言うか? カッコ悪いっよなぁ。


「じゃあ、さっきから何悩んでるの?」

おぉぉ。バレてる!


「いや、悩んでるって。ぼーっとしてただけだって。ちょっと疲れてんだろうなー」

さくら疑ってるなぁ…。


「ほんとかなぁ? ふーくんが大丈夫ならいいんだけど〜」

急に優しい。ってさっきからも心配してくれてるんだもんなぁ。


「あ。じゃあふーくんの好きな人って誰?」


「え、えーっと…」

うわぁ、うわぁー! どうしよ、言う? 今ってチャンス、チャンスなのか!? そりゃ、告白するぞって心には決めてたけど…けど! こんなシチュエーションになるとは思ってなかった! …脈なし、だよな? さっきの感じ…。でも、なんか今日言わなかったらずっと言えない気がする。頑張れ、俺。フラれたってさくらなら友達で…いてくれるといいな。…弱気になるな、俺! そうだよ、当たって砕けろ! 告白しちゃえ、史人!!

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