130話

「ふーくん七夕のお願い書いた〜?」

「あ、今日七夕か」

学校での1日が終わり、帰宅中です。

「ふーくん忘れてたの〜? じゃあ書いてないか!」

「おぅ、書いてないけど。家で笹とか、短冊とか出さなくなったしな〜」

そういえば、小さい頃は笹置いて短冊飾ったりしてたなー。

「そっか〜、昔ふーくん家で見た話したら家では毎年飾るようになったんだよ〜」

「あー、さくら書きにきたことあったもんな」

「うん! ふーくん家で見たときは家で七夕してるーって大喜びしたな〜!!」

あー。俺の家で笹飾って、短冊かけてるって言ったらさくらが行きたい!って喜んでたんだよな。来たら来たでもっと大喜びだったし。

「あはは、あったな。あのときさくら何個も短冊書いてたよな」

「そうそう! あんな貪欲じゃ叶うものも叶わないよね!」

「そうだな、俺どんなこと書いてたかな〜」

「ふーくんのお母さんのことだから残しててくれたりして!」

「ありそうだな、帰ったら見てみるか」

「いいね〜、私は毎年飾り終わったの箱に入れてるんだ〜」

「へー、どんな願い事してんだ?」

「えへへー、ひみつー!」

なんだよ…かわいいなぁ!

「ひみつって、昔のとかで覚えてるのないの?」

「んー、最近は同じような願い事してるからな〜」

「へー、叶わないのか。そんなに」

「うーん、たぶん叶わない…かな」

そんなデカい夢を…。

「あ、小さい時にね。でっかいショートケーキが食べたいって書いたら、次の誕生日にホールケーキをお父さんが買ってきてくれたことがあった!」

「おぉ、粋なお父さんだな」

「あはは、結局全部は食べれなくて家族で食べたけど嬉しかったな〜!」

「いいな、そういうの。あ、じゃあ今書いてる願い事もそれみたいに叶うんじゃね?」

「うふふ、だといいな〜」

どんな願い事したんだろ、俺だったら…さくらとのことを願うかな。俺は乙女か!


「ただいまー」

「あ、おかえりー」

「なぁ、昔七夕で書いた短冊とかって残してる?」

「急ね〜、会ったと思うけど。探す?」

「あ、いやそこまでじゃないや。何書いてたっけなーって」

「うふふ」

「ん、何?」

「そう言われて思い出したのよ」

「何を、俺変な願い事でもしてた?」

「違うわ〜、さくらちゃん」

「え、さくら?」

何だ、さくら面白いことでも書いたのか。

「そうそう、いっぱい短冊書いて帰った日あったでしょ〜。あの時に“ふーくんとずっと仲良くできますように”って書いててすごく微笑ましかったのを思い出したのよ」

「へー、嬉しいな。手洗ってくるわー」

「うふふ、はーい」


…何だよ、知らなかった!! さくら…かわいいやつだな!

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