126話【智の恋】

「お疲れ様でーす」

「お疲れ様でした〜」

「おぅ、お疲れー!」

「じゃ、美咲さん行きますか!」

「うん!」

どうも、バイト終わりの智です! 美咲さんと一緒にたくの絵が飾られてる展覧会を観に行きます!

「ちょっと歩くけど、大丈夫?」

「うふふ、大丈夫だよ! 智くんの話面白いし」

おぉ、俺の話面白いと思ってくれてんのか! 嬉しいなー! でも…

「え、マジすか! うわぁ、でもハードル上がるな〜」

「あはは、気にしない気にしない!」

「え〜、うまく話せないですよー!」

「頑張れ〜!」

「が、頑張る…。ってか、絵観に行くの嫌じゃなかった? ついてきてもらっちゃって…」

テンション高く誘って断り辛い空気作っちゃったんだよなー。

「えー、楽しみにしてたのについてきてもらったとか言うんだー」

「いや、違う違う! 確認だから、確認!」

「あはは! 智くんの友達の絵も気になるし、一緒に絵画観るなんて大人のデートっぽくて好きだよ」

大人の…デートか。俺そんなかっこよくできないし、一応高校生レベルの展覧会のはずだけどな…。

「そ、そっか! よかった〜」

「でも、智くんに絵画を描くような友達がいたとはね〜」

「それどう意味っすかー?」

俺バカにされてる?

「うふふ、智くん元気に走り回ってるイメージだから」

「ちょっとバカにしてる?」

「うふふ、ちょっと」

バカ二されてるのに、“ちょっと”って指で表しながら言う美咲さんをかわいいと思ってしまった。

「俺だってバカで元気なだけの男じゃないからー!」

「そこまでは言ってないって〜! 色んな友達がいると楽しそうだね」

「うん、めっちゃ楽しいよ!」

そう考えたら俺らってよくわかんないキャラだけど、なんだかんだ仲良いよな。


「うぉー! これたくの絵! すごくね?」

「智くん、声大きいよ!」

やっべ、テンション上がってつい大声を…。

「あ、ごめん」

「うふふ、これがお友達の絵か〜、素敵だね」

「たく、すげぇなぁ。うわ、この水透き通ってんなー」

「ほんと、どうやって描いてるのかな」

よかった、美咲さんも楽しんでくれてる!

「今度聞いときますね、ってか友達が美咲さんに会いたいって言ってたわ〜」

「え、若い子に囲まれる…?」

「あはは、そんな年変わんないじゃないっすかー!」

「いや、高校生と大学生は若さが違うから…」

「そんなことないよ、美咲さんが一番綺麗でかわいい!」

「な…何言ってんの!」

照れてる照れてる、めっちゃかわいいな〜。

「でも、ありがとう」

「あはは、おぅ!」

かわいすぎるー!!


「ラーメンでも食います?」

「あー、そう言われたらハジメさんのラーメン食べたくなるね〜」

「うわぁ、俺もそんな気分に! ちょっと道戻っちゃうけどいい?」

「私はいいよ」

「じゃあ、行こう!」


「いらっしゃーい! お、智と彼女さーん。バイト帰りか、お疲れぃ!」

「バイト終わりにデートしてきちゃいました」

「なんだ、ラブラブか! よーし、ラーメンデートも楽しめよぉ!」

「あはは、あざっす!」

「ありがとうございます!」

えっと、奥に座ろうか…あ、今日人いるなぁ。…あれ?

「弓人?」

「あ、先輩方。お疲れ様です…って、あれ今日夕方上がりじゃ…?」

「そうそう、帰りにデートしてて。でも、やっぱここのラーメン食いたくなってな〜」

「弓人くんは1人?」

「はい、ここ美味しいですよね。安いし」

「へい、お待ちー。お、なんだお前ら知り合いか! そこで一緒に食ったらどうだ?」

「いいっすねー、弓人相席いいか?」

「はい、でもデートなんじゃ…?」

「あ、美咲さん…」

「私も相席させてほしいな」

「じゃあ一緒に食べましょ」

今日はどのラーメンにしようかな〜!

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