118話

「史人、お金貸してくれないか」

…どうも、金を貸してほしいと言われている史人です。カツアゲではありません、絶賛教室で昼休み(お昼ごはん)を満喫中です。

「あ? 何で、ってかいくら? 俺金持ちじゃないぞ…?」

ちなみにお金を貸してと言っているのは智です。

「今日母ちゃん、寝坊して昼作れなかったらしく…昼飯を購買で買うはずだったんだが」

「サイフを忘れた…と」

「いや、サイフはある」

「じゃあどうしたんだよ、まぁお昼代くらい貸すけど。あ、返せよ?」

「マジ! ありがてぇ、明日絶対返す!」

「で、サイフあんのに何で金ねぇの?」

「昨日、後輩に夜飯奢って…サイフが力尽きた」

「なるほどな、どんまい。で、いくら?」

「購買のパンだから…あ、でも飲み物も…えっと」

「んー。1000円渡すから使え、明日返してくれれば別にいいから」

「多くね?」

「今日金ないのめんどいだろうし、小銭あんま持ってねぇからそれでいい」

「史人〜、優しい〜」

「早く飯買ってこいって〜」

「なにー、パシリ〜?」

うん、さくら。俺はお金を貸してあげてるのにひどい言われようだね。あと、このタイミングで戻ってこられるとそう見えちゃうから。うん。

「いや〜、今日金忘れて史人様が貸してくださってるのよ〜」

うん、正しいけど。史人様って崇め過ぎだろ…。

「そうなんだ! あ、じゃあ早く買いに行かないとだね」

「お、やば! 史人様、智行ってきまーす!」

「はいはい、早く行け」

「はーい!!」

忙しいやつだ。

「智くん、また昼ごはん忘れちゃったの?」

「お母さんが寝坊でお弁当作れなかったらしい」

「そうなんだ、大変だね〜」

「智はサイフのお金使ったのを忘れてたけどな」

「あー、重なっちゃったのか!」

「らしいな」

「どんまいだね〜」

「まぁ、俺がいてよかったな」

「あはは、そうだね! いい友達〜!」

「ハハ、だろ?」

「うん!」


どのくらいの友達にどこまでお金貸せますか?(唐突)

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