第30話 【智の恋】

やぁ、智だ。先日、たくに名言をもらったんだ。

「すぐ次に行けるくらいの好きなら別に恋じゃなかったんじゃない」

そうだよなぁ。俺、先輩のことずっと好きだったんだから急に好きじゃなくなるなんて無理だよ。よっしゃ、彼氏がいたって関係ねぇ! 告白しよう!! 俺は今日のバイト帰りに告白することを決めた。当たって砕けろってやつだな。


「お疲れ様〜」

「あ、お疲れ様でーす」

よし、まずは飯にでも誘って、帰りに…。断られた場合は今言うのか…? うわ、緊張してきた。でも、言うって決めたし。あー、どうしよ、絶対フラれる告白ってこんな怖いのか、ってか俺告白したことなくね? …ヘタレじゃねぇから。

「せんぱ…」

「じゃあお疲れ様〜、お先に失礼します!」

あ…。行っちゃった。いや、告白するって決めたんだ、追いかけろ俺!

「お疲れ様です、俺も帰りますね〜」

「おぅ、お疲れー」

いた! 先輩!

「先輩! 今からご飯行きませんか!」

「あー、今日は予定があって…。うーん、また今度でも大丈夫かな?」

おぉ、まじかぁ。

「えっと、じゃあ…」

「ゆき、お疲れ」

「あぁ、ありがとー!」

…この人。先輩の彼氏じゃん。


俺、タイミング悪っっ!!

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