第29話

「あ〜、また負けたー!」

「まだまだだな」

「もう1回! もう1回お願いします!」

今日はさくらがゲームをしに遊びにきています。俺はお家デートだと思って楽しんでいます、はい。やっぱりさくらは私服もかわいいなぁ。きもいとか言わないでくださいよ?

\ガチャ/

「さくらちゃん、この間はありがとうねー。この子が風邪を拗らせるなんて、仕事忙しかったからさくらちゃん来てくれて助かったわぁ」

「あ、お母さん。こんにちはー! 困った時はお互い様ですよ〜」

うわ、母さん乱入。さくらが俺の母さんをお母さんって呼ぶのは昔からで、ちなみにさくらのお母さんはママと呼ばれている。

「あら〜、いい子! 嫁に欲しいくらい!」

お、おおおお母様!? やめてくださいます!?

「ちょ、ちょっと何言ってんだよ」

「冗談よ〜、照れないの! じゃあお菓子と飲み物置いとくわね〜」

「ありがとうございます!」

\ガチャ/

この空気で2人にしないで! 気まずいから!!

「やっぱりお母さん楽しいひとだね〜、私もあんな風になれるかな〜」

嫁はスルーね、うん。よかったよかった。

「あんな風にならなくていいだろ」

「えー、素敵じゃん! あぁ素敵な家庭持ちたいわぁ」

「唐突すぎだろ、ってかまだそんなの早いし」

「夢見るのはいいじゃん! あー、彼氏欲しい!」

おいおい、幼馴染の男の部屋に高校生にもなってゲームしに遊びに来るやつには彼氏なんてできませんよー。俺ならいいけど、俺ならね。うん。隣の幼馴染を恋人にしてみませんかねー。

「まぁ、そのうちできんじゃね?」

「うわぁ、モテる男は違うね〜。私もモテたい!」

…そのうち俺が彼氏になるからって思ったんですよ!すみませんね!

「別にモテないわ」

「今月告白された回数は?」

「3…かな?」

「うざすぎ…。モテるんだよ、それは…」

えー。浮気したぐらい怒られてる…。

「なんか、すんません」

「謝れた心意気に免じて許してやろう」

「ありがとうございますー」

「あはは! じゃあもう1戦しようよ〜」

機嫌が戻ったようで安心しましたよ、さくらさんよ。

「おぅ、勝たせてやらないけどな」


このあと、全勝したのが俺です。

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